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コラム「マダムの部屋」
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マダムの部屋
ちょっとちらかってるけど、気にしないでゆっくりしてって!

マダムの部屋-7-
「トリが怖い」

 この夏、私の二階のアパートの外灯の上に、ツバメさんがやってきて、巣を作っていった。
 犬や猫は大好きなのに、小さいものでも鳥がなぜだか苦手な私は、騒ぎまくり、何とか出ていってくれないかと、大家さんに頼んだが、周囲の人が「ツバメは幸せを運ぶんだよ、壊しちゃだめ」と言われ、翻って、共存することに決め込んだ。
 最初はあんなに怖がっていたくせに、慣れてしまうと、なんてことなくなって、巣にいるのを確認すると、安心するようになったのだから、自分の現金さにあきれていた。
 とにかく糞がすごかったのも、いやだった。
 でも、「幸せになるのさ」と思って、100円ショップでホーキと取っ手付きの"たわし"を買ってきて、朝早くから掃除をした。ふだん掃除などしない玄関前、階段に水をまいてきれいにした。(ツバメ効果)

 どうして、トリが嫌いなのかなあ、と考えてみた。
 山でトリを眺めていて気が付いたのは、トリの動きは、ものすごくダイナミックで、ふわーっとしていて不思議。自然体そのもの。宇宙の摂理に逆らわない動きをしているように感じる。自然に抵抗しまくって生きている人間など、到底、トリになど及ばないと私の何かが感じたからではないだろうか、と思った。
 そういえばどこかで、トリは、小脳がものすごく発達しているというのを読んだことを思い出した。人間は小脳よりも大脳主体で動いているが、小脳というのは、動きとかそういったものを司る場所だということだ。また、人間も小脳を開発していく必要性が、今の時代にはあるらしいということも書いてあった。

 お世話になっている喫茶店(※)のお兄さん・河端寛司さん(鳥類・魚類研究家)が、赤ちゃん手乗り文鳥の「シロ」を連れて来ていた。白くて、小さくてまあ、かわいかったけど、羽を広げられると、やっぱり怖かった。
 ちなみに、文鳥は、19世紀(かな?)ごろ、イギリスでペット用に改良されたトリで、自然に返すと、カラスなど大きなトリの恰好の餌食になって、この種は絶えるとか。まあ、人間が交配を繰り返し、愛玩用に作り替えたということらしい。所詮、人間がつくったものなど、自然にはかなわないということだ。
人間の傲慢さを、思い直すべきだなあ、と、こんなところでも思わされる出来事だった。

 で、私のうちにきたツバメは、一ヶ月もいないで、巣立っていった。いなくなった時は、「ああ・幸運は去ってしまったのかしら」とちょっと寂しくなった。(身勝手)
「幸運」もいいけど、どちらかといえば、今の私、トリさんの小脳が欲しいなあと思っている。(強欲)

※南千歳町、しまんりょ小路にある「珈琲倶楽部寛」。カップが自分で選べる気持ちいいお店。知る人ぞ知る、長野一、美味しいケーキ屋さんと私が思っている「ケイノシン」さんのお店のケーキが食べられる。寛オリジナルの「珈琲ゼリーぜんざい」も絶品。冬になると、岡崎朋美選手ら富士急のスケート部の選手も訪れているお店としても知られているが、これは内緒らしい。

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