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コラム「マダムの部屋」
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マダムの部屋
ちょっとちらかってるけど、気にしないでゆっくりしてって!

マダムの部屋-14-
「呼吸」

日曜日、誘われて、久しぶりにコンサートに行った。県民文化会館。
人混みに行くと疲れてしまうから、最近は趣味だったコンサートも
行かなかったのだが、和太鼓とジャズピアノのセッションで、二人
とも世界的に活躍するアーティストだし、面白そうかなと、いうこ
とで行った。
セッションだから、二人の呼吸を合わせることが大切だ。そんな場面
を見ているうちに、過日の世界選手権のスタートでの出来事がぐるぐ
る頭を回り始めた。

一日目の一本目。
私は2番スタートだった。「Track is clear」のサインが出て、そりを
氷の上に置き、呼吸を合わせ始めたところ、どっかの応援のおじさんに
よる、「フレーフレー」が始まってしまった。どんなスポーツでもある、
「絶対に声をかけられない立ち合い」のようなところ。「やばい」と
思ったが、30秒ランプも気になって、結局、仕切り直せずにスタートして
しまった。
相当硬かった。走れていないこともよーくわかった。
で、なんで、そこでひと呼吸置くことができなかったのだろう・・・
というのが、私の後悔であり、失敗だった。その場面が、なぜか今ごろ
になって、これだけリアルに再現されたのは、やはり、何かのメッセー
ジなのだろう。
観客の呼吸も、自分に引き寄せ、それをコントロールする「気」が必要
だと、感じた。そういう部分も含めての「勝負」なんだわ。
大舞台で勝てるようになるには、本当にいろんな要素が必要なんだね。
もちろん、技術、体力はさることながら、舞台変われば、全く違うから。
世界選手権と昨年のオリンピック、似たような精神状態で試合に臨ん
でしまった気がしてならない。自分なりにはいろんな側面で鍛錬して
みたつもりだったが、周囲の見えない力に、動かされてしまうのが、
大舞台の怖さ。
それに勝る自分の鍛錬。間違いなく、トレーニングだけでなく、日常生
活に潜んでいるような気がしてならない。心して過ごさねば。
ちなみに、演奏会は、というと、席が前のほうだったからもあってか、
和太鼓の音がすさまじく、ものすごいパワーに唖然とした。
一曲目、二曲目あたりでは、特に背中がパンパンに張ってしまって、
どうしようか・・・と思ったほど。三曲目に入ったころから、自分なり
にこの空間でも「抜けていける」感覚を覚えたが。
揺さぶられはしたものの、拍手喝采する元気もなく、結局疲れて帰って
きた夜でした。

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